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野口酸素株式会社様の配達ルートアプリを開発中です──AIを使わない、という選択

現在、富士市の野口酸素株式会社様で、配達ルートを案内するアプリの開発を進めています。7月末に社長へお披露目し、本採用に向けて現在も改良中です。

野口酸素様は、プロパンガスの販売とあわせて、ヘルメットなどの安全用品を市内の事業者へ配達しています。配達先ごとの回る順番や注意点は、長年担当してきた社員さんの「なんとなく」の経験に頼っており、新しく担当する方への引き継ぎが難しい状態でした。お客様から「いつ頃届きますか」と問い合わせがあった際も、配達中の担当者に電話で確認するしかありません。

そこで、「配達のルートを示してくれるアプリが欲しい」というご依頼をいただき、この開発が始まりました。

仕組みは、シンプルです

使い方は、こうなっています。

前日に、社員さんが翌日の配達先を入力しておきます。当日の朝、配達を担当する方がスマホでアプリを開くと、その日の配達先が、最短で回れる順に並んでいます。あとは「ルートを開く」ボタンを押すだけ。使い慣れたGoogleマップが立ち上がり、配達先を順に回るナビが始まります。

専用アプリのインストールは不要。配達する方の操作は、実質「開く・押す」の2つだけです。

このアプリに、AIは使っていません

AI活用を支援している私が言うのも妙な話ですが、このアプリにAIは使っていません。配達順の計算は、Googleの経路計算の仕組みに任せています。

理由ははっきりしています。「どの順番で回るのが最短か」は、答えが決まっている問題だからです。実際の道路や所要時間のデータを持っているのはGoogleであり、そこに計算させるのが一番正確で、毎回同じ結果が返ってきます。生成AIに聞けば「それらしい順番」は出てきますが、正確な最短経路は出せませんし、日によって答えが変わることもあります。配達で「昨日と順番が違う」は、混乱のもとです。

AIを使うことが目的ではなく、業務が解決することが目的です。だからこの案件では、AIを使わない判断をしました。以前のコラム「AIを入れないのも、正解のひとつ」で書いた考え方の、まさに実例です。

「使う人」に合わせて設計する

工夫したのは、計算よりもむしろ、人の側の設計です。

配達を担当する方の操作を最小限にするため、入力の手間は前日の社員さんが引き受ける形にしました。手間を、時間に余裕のある側に寄せる。こうすれば、新しく配達を担当する方が来た日でも、説明なしで使えます。

現場の声から生まれた機能もあります。たとえば配達の記録。最初は「配達完了」のボタンだけを用意していましたが、不在で渡せなかった場合に完了を押すのは、記録として嘘になってしまいます。そこで「配達不可」「後回し」の選択肢を追加しました。また、配達履歴が残ることで、「あとどれくらいで届きますか」という電話にも、どこまで配達が済んでいるかを見てすぐ答えられます。これは社長がアプリを触りながら見つけてくれた使い道でした。

費用と、引き渡しの方針

運用費用は、現在の利用規模なら無料枠の範囲内に収まり、月額0円の見込みです。万一想定外の使われ方をしても料金が跳ね上がらないよう、利用回数に上限も設定してあります。

また、プログラム・データ・操作手順書は野口酸素様の資産としてお渡しすること、データはいつでも取り出せる形にすることを、契約書に明記しています(納品時に実施します)。私がいなければ動かない、という状態にはしません。

まとめ

AIの会社に頼んだら、AIを使わないアプリが出てきた。冗談のようですが、業務にとってはそれが一番良い答えだった、という話です。道具から入るのではなく、業務から入る。この順番は、これからも変わりません。

配達や現場作業の段取りに手間を感じている富士市周辺の事業者の方、うちの場合はどうなるだろうと思ったら、お気軽にご相談ください。

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